鉄血のオルフェンズと武士道まとめ。日本人の失われた価値観を感じる

止まるんじゃねぇぞ

「止まるんじゃねぇぞ」

が独り歩きしている鉄血のオルフェンズを

まとめて鑑賞しました。

いやー、面白いですね。

この作品も見る人によって、受け取り方が変わりそうです。

ネット上にも、いろいろな考察がたくさんありました。

当ブログはお得意の哲学考察してみようと思います。

対比に使うのは「新渡戸稲造の武士道」です。

あ、

ミスター・ブシドーは出てきません。

なんか地味に人気あるんだよねー。

このコーナー。

アニメから学ぶ哲学」って授業持つので、

どっかの大学講師として雇ってくれません?

 

ニート乙

武士道とは?

>武士道 (PHP文庫)

これと言った宗教のない日本で、

「ヘイジャップ道徳教育どうなってんだよ?」

って外人に聞かれたのがきっかけで

新渡戸稲造が日本人のあり方を書いた本です。

そうそう、

海外は宗教によって人の道を教えています。

(教育関係者以外には知られていませんが、

日本の学校では、道徳の代わりに宗教で単位を取ることが出来ます。)

武士道では日本人のあり方として7つの徳を挙げました。

それぞれの概要はこんな感じ

「義」正義の道理。人として必ず守らないと行けない事

「勇」勇気、強敵に挑む心。何があっても動じない心

「仁」女性的な優しさ、目下の者に対する温情。

「礼」礼儀。上記3つを行動にする。相手を尊重する。

「誠」嘘をつかない。それは自分の「仁義」に対しても

「名誉」上記のことを穿けば名誉ある人間に成れる。

「忠義」心から君主に仕えること日本独自の価値観。

そして最後は、

ノーブレス・オブリージュ(上に立つものの義務)を挙げています。

鉄血のオルフェンズの名シーン、

登場人物の選択の場を武士道の解説とともに振り返ってみますね。

※注意 以下 鉄血のオルフェンズ1期2期のネタバレを含みます。

クランク二尉の「義」

引用 鉄血のオルフェンズ公式

バルバトスに決闘を挑む、噛ませ犬的な役ですが、

このおじさんの価値観には、目をみはるものがあります。

コーラルからCGSの抹殺を命じられるも、

「子供を殺したくない」と言う価値観から、バルバトスとの決闘を挑みます。

「少年兵を相手に戦うことなど出来ません・・・彼らが自らの意志で戦っているとは思えない」

「子供を相手になど・・・」

「頼む。一人で行かせてくれ。お前たちに兵士としての汚名を着せたくはないのだ」

組織から観たらただの命令違反ですよ。

ですが、

このおじさんは自分自身の価値観に従い、

「組織に従うか」「子供を殺さないか」

の選択肢で「子供を殺さない」を取ったのです。

そう、つまり、

自分自身の正義に従ったのです。

「義」とは正義の道理のこと。

道徳価値観の骨格に当たります。

「義」のない行為は、不正とみなされ、

武士の世界では忌み嫌われていました。

ぶっちゃけ「義」なんて、目線によってコロコロ変わっていくものです。

この記事では、それぞれの登場人物の価値観ってことで話をススメていきます。

以下の解説にも書いていきますが、

鉄血のオルフェンズは損得勘定ではなく、

登場人物の「義」に従った選択を取る場面が多いです。

任侠アニメと言われる所以ですね。

でも、「義」に従いすぎると、

理屈に合わない状態でも命を掛けることになります。

クランク二尉も「義」を通した結果、あれですし。

他にもオルガの選択でも似たような状態になります(後述)。

鉄華団の「勇」

引用 鉄血のオルフェンズ公式

「勇」は勇気のことですね。

「義」なんかより全然わかりやすい。

さて、

この「勇」は武士道では2通り挙げられています。

まずは

難敵に挑む勇気です。

誰しもが想像する勇気ですね。

特に、鉄華団は最弱扱いですので、

難敵と戦う場面が多々あります。

特に印象的だったのは、

「シノ」がダインスレイヴを打ち込むシーンですね。

あの作戦って、「鉄華団」を守るために死を覚悟しての挑戦じゃないですか!

勇気以外の何物でもありません。

引用 鉄血のオルフェンズ公式

「流星号だ。ここで引いたら今までの俺たちが・・・オルガの言ってきたことが全部無駄になっちまう。頼む、ヤマギ。おめぇにしかできねぇ仕事なんだ。」

あ、間違いやすいですが、

無謀な勇気は「匹夫の勇」と言って、何の価値もありません。

イメージは

「イオク」が何の価値観もなく、

負けるとわかっている喧嘩をする感じです。

孔子も「義を見てせざるは勇なきなり」と言っていました。

「義」を実行することが勇気です。

言い換えれば「義」が無ければ「勇」ではありません。

もう一つは、動じない心です。

本当に勇気がある人は、ピンチになっても冷静でいられるんですよ!

武士って討たれる前は舞ったり、

詩を書いたりするじゃないですかー。

まぁ

アニメの場合はみんな体得してますかね。

だってパニックになったりしないもん。

しかも、カッコよく散っていくもん。

(進撃やマヴラブは死に方リアルすぎるけど……)

鉄華団・タービンズに観られる「仁」

引用 鉄血のオルフェンズ公式

「仁」は優しさのことです。

「義」と「勇」が男性的な心とすると、

「仁」は女性的な心です。

鉄血のオルフェンズの美しい価値観だと思うんですよねー。

オルガが木星に着いたときに

家族サービスと言って、団員をねぎらったり、

ライドが年下の子達のために、お菓子を隠したり。

ブルワーズのヒューマンデブリを引き取ったシーンも印象的でした。

ナゼの兄貴は好き好んでハーレムを作っているわけではなく、

「女性」を守るために組織を作った、

という弱者を助けるために身を立てた人物です。

もうね、美しすぎ。

引用 鉄血のオルフェンズ公式

オルガ「死んじまった仲間が流した血と、これから俺らが流す血が混ざって、鉄みたいに固まってる。だから・・・だから離れらんねぇ。離れちゃいけないんです。危なかろうが、苦しかろうが、俺らは・・・」

ナゼ「まあでも、血が混ざって繋がって・・・か。そういうのは仲間って言うんじゃないぜ・・・家族だ」

このシーンは涙腺やばかった。

身寄りのない孤児達を、

「守っていきたい」と願ったオルガの言葉でしょうね。

家族という概念を知らない孤児たちに、「家族」に付いて語るナゼ兄貴。

そして、

この二人の「仁」が他の登場人物の「忠義」につながっていくのも、美しいです。

「情けは人のためにあらず」

「お互い様」

かなり無理がある戦いでも、

鉄華団が生活を保証してくれるから、

団員たちは戦ったのではないでしょうか?

今の日本じゃ、絶対に有り得ない価値観でもありますね。

人間はなにも食べなくても[感動]を食べれば生きていけるんです

労働基準法なんておかしい。今は24時間働かないといけない時代なのに

業界ナンバー1になるには違法行為が許される

ひえっ。

今の若者が残業を嫌う理由わかります?

もともと残業は、

人員が不足しているときに、少人数で回すから発生していました。

逆に言えば、

「ある程度仕事が減っても、解雇されることがない」

という暗黙の了解があったのです。

引用 大学4年間の経済学が10時間でざっと学べる

しかし、今では、

不景気になれば、簡単にやめさせます。

実質、何のトレードも行われていないんですよね。

「残業=労働力の搾取」になっているのですから、

嫌がるのも当たり前です。

他の労働問題も「仁」無き会社で、

何のトレードも発生しないのが原因かと……

(飲み会、社員旅行etc)

おっと脱線。

オルガが体得していく他者を尊重した「礼」

引用 鉄血のオルフェンズ公式

基本的には礼儀です。

物事を尊重する態度と言うべきですかね。

どんなに礼儀作法が整っていても、

心がこもっていないと意味がありません。

上辺だけのマナー講座とか大っ嫌い。

「ノックの回数とかどうでもいいじゃん」

おっと脱線。

 

ところどころニートのルサンチマンが…

他者を尊重する態度は、

オルガの成長とともに顕著になっていく気がします。

ビスケット:「仲間のことをもっと考えてくれ。みんなを危険な目に遭わせず火星に帰る手はきっとあるはずだ」

オルガ:「俺が仲間のことを考えてねぇってか?」

ビスケット:「そうじゃない。また危険な道をあえて選ぼうとするのはやめてくれって言ってるんだ!」

ビスケット:「ここで無理してまた誰かが死んだりしたらどうなる。こんなこと続けて将来も何も・・・」

オルガ:「決めたことだ!前に進むためにな」

最初はビスケットの意見にも耳を傾けようとしていませんでした。

しかし、

ビスケットの一件以降、

他人の意見を尊重するようになります。

2期ではタカキの鉄華団を抜けたいという意見を聞きいれ、

彼の新しい職場も用意したのは印象的です。

タカキ「団長が俺たちの未来のために悩んでいろいろと考えてくれてるのは分かっているんです。だけど俺はフウカを泣かせたくない。火星の王になればでっかい幸せが待ってるのかもしれない。だけどそのことで今そばにある幸せを捨てなけりゃならない。俺にはそれができないんです。」

オルガ「俺にはお前を止める権利はねぇよ。」

この行為が巡り巡って、最後の地球逃亡にも役に立っています。

自身の儀に嘘をつかかない「誠」

引用 鉄血のオルフェンズ公式

簡単に言うと、嘘をつかないことですね。

今の日本人に足りない精神。

就活なんて、化かしあいで、

嘘ついてサークルのリーダー増殖してます。

Google検索のYMYLアルゴリズムの変更されたの日本くらいでしょ。

(健康に関するサイトは信頼性がないと検索に乗らなくなった。)

恥ずべき行いです。

嘘をついても金儲けしようとする態度は戒めるべきでしょう。

(LP作ってた自身の反省もあります。)

節義にもとる。

と言っても、ゲーム理論みたいに

裏切らないと損をするんですよねー。

鉄血のオルフェンズでは明確な描写はありませんが、

「仁」「儀」に「誠実」って場面は多いと思います。

オルフェンズのキャラクターは、

自身の正義をないがしろにしてまで、

利のある行動しませんからね。

フミタンの行動なんてまさにそうなのではないでしょうか?

組織に従っていれば、フミタンの利益は多大なるものでした。

それこそ、将来すら安泰です。

なのに、クーデリアさんを守りたいという気持ちに嘘がつけず、

あの感動的なシーンが出来たのです。

フミタン:「嫌いだった・・・何も知らない・・・まっすぐなだけの・・・あなたのまなざし・・・」

嘘といえば、カルタの最期にガエリオが語った言葉も印象的です。

カルタ:「あぁ・・・マクギリス・・・助けに来て・・・くれた・・・のね。マクギリス・・・」
ガエリオ:「・・・ああそうだ」

「嘘も方便」と言う言葉もあるように、

人を良い方向に導くために嘘が必要になることもあります。

きっとカルタの最期を知って、

心だけでも救おうとする嘘なのでしょうね。

最後に与えられる「名誉」

「名誉」という感覚には人格の尊厳と、明白なる価値の自覚が含まれている

武士道

人格が育っていくと、

人として犯されては行けない部分と、

じぶんが置かれている立場を自覚することで、

「名誉」が生まれます。

人格に関しては、「7つの習慣」にも代表されるように近年注目されていますね。

完訳 7つの習慣 人格主義の回復

武士道によると「誠」に従っていれば、自然に人格が成熟します。

そして、鉄血のオルフェンズを観る限り、

「名誉」(人格)がないと、結局、人は付いてこないんでしょう。

(7つの習慣でも同じようなことを言っています)

引用 鉄血のオルフェンズ公式

マクギリスは自身の「儀」に従って裏切り行為を繰り返していました。

その裏切りは「アイン」や「ガエリオ」「カルタ」への「仁・礼」が掛けるものでしたし、

追い詰められて単独で宇宙に上がったシーンは「匹夫の勇」です。

自身の「儀」には「誠実」だったかもしれませんが、

そのために、周囲の人間には「不誠実」な嘘をつき続けます。

その証拠に、

錦の御旗である「バエル」を手にしても人は動きませんでした。

反対にイオクは正直(誠実)に生きているため、

長年の家臣達がついてきています。

ちなみに、

「名誉」の対義語は「恥辱」です。

よく「恥を知れ」なんて言うじゃないですか!

徳のない行動は「恥」です。

なんか悪いことした時って「恥ずかしい」って思いません?

聖書でも人間が初めて感じた感情は「恥」でした。

恥を感じることこそが、

名誉を得るための第一歩なのかもしれません。

オルフェンズの最大の見せ場は「忠義」

引用 鉄血のオルフェンズ公式

海外では絶対に評価されない価値観であり、

日本人から失われた価値観です。

鉄華団のメンバーは、

どんなにリスクがあっても、君主(オルガ)に尽くします。

それは、オルガが自分たちに示してくれた「恩義」(仁)あってのことでしょうね。

ヒューマンデブリから開放された昭宏の、

オルガに対しての忠誠は美しいです。

「迎えに来たぜ!大将!」

ライドはオルガの仇を取るために暗躍しますし、

タカキは鉄華団のために地球脱出を援助します。

引用 鉄血のオルフェンズ公式

中でも美しいのはナゼ兄貴の仇を取るシーンですよね?

あの場面で利害を考えたら、仇討は最も愚かな選択でした。

ですが、

全てを捨ててでも、仇討ちを行ったのです。

忠臣蔵をアニメの世界でやるとは思いませんでした。

そうそう、

忠誠は「ごま擦ったり」「上司に卑屈に成ったり」することではありません。

君主が間違いを犯しそうになったら、

止める覚悟も必要なのです。

「ビスケット」がいい例ですね。

まぁ、現代じゃ「自己責任」ってことで、

国も会社も「恩義」なんて与えなですから……。

「消費税で納税額増やしても自分たちに還元されないし」

「残業しても、容易に解雇するし」

それらに「忠誠」を誓うことに疑問を感じます。

高き身分の者に伴う義務 ノーブレス・オブリージュ

オルフェンズの美しいシーン。

高い身分の者が、弱者を守ったり、成長させたりする態度です。

鉄血のオルフェンズでは、

年下の面倒をみたり、守ったりするシーンが多く描写されています。

クーデリアさんがフミタンの件で覚醒し、

自分のできる方法で鉄華団を守ろうとしていました。

三日月がハッシュを弟子に取った時にも、見受けられます。

不器用ですが、彼を成長させようとしていました。

アリアンロッド掃討作戦で

三日月と昭宏が殿を努めたのもそうですね。

他者より強い力を持っているが故に、仲間を一人でも逃がすため、

最後まで戦っていました。

そして最後はこれ、ライドを守るために行動です。

「俺は鉄華団団長オルガ・イツカだぞ。こんくれぇなんてこたぁねぇ。」

「俺は止まんねぇからよ、お前らが止まんねぇかぎり、その先に俺はいるぞ!だからよ、止まるんじゃねぇぞ・・・。」

止まるんじゃねぇぞ

引用 鉄血のオルフェンズ公式

「止まるんじゃねぇぞ」

団長という立場で団員を守る態度は美しいですね。

なお、現在の日本は……。

家族ぐるみの会社は古臭い、

人間関係が面倒くさいってムードですが、

高度成長期の時は成功していました。

もしかしたら、

このような組織のほうが、

日本は成長できていたのかもしれませんね。

サンデル教授のコミュタリズム思考にあるように、

古い価値観を見直すのも、必要なのかもしれません。

これからの「正義」の話をしよう (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)

鉄血のオルフェンズを武士道でなぞってみる まとめ

こうして、薄っぺらな知識でアニメ作品を観てみるのも面白いものです。

特にオルフェンズは、任侠アニメだけあって、

登場人物の心境に素直な作品ですね。

行き過ぎたグローバル化で、

利害での選択が多くなった現代に、

一石を投じる作品とも言えます。

~道徳の授業化のニュースを観ながら~


機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ メカニックス&ワールド (双葉社MOOK)